はじめに

セス・C・リース

今は戦時である。不穏な国内情勢や恐ろしい戦いへの備えは、罪の事実とその諸々の結果を際立たせている。「時のしるし」に関心を持って見守る一方で、イエス・キリストの兵士として、われわれは肉的な戦争に携わっているのではない。「私たちの戦いの武器は肉のものではなく、神による力強いものであって、要塞を陥落させるものなのです」。

「聖戦」が、真実な筋金入りの兵士たちを求めている。敵は弱小な敵ではなく、激しい憎しみを抱く敵であり、世の始めから経験を積んできた敵であり、巧妙な戦略を弄する敵であり、破壊的な目的を持つ敵であり、その究極的目的は徹底的な破壊である。彼は強敵だが、全能の指導者たる御方が対抗しておられる。この指導者なる御方は主イエス・キリスト、「諸々の苦難を通して完成された、われわれの救いの将」にほかならない。

サタンとの最初の大きな戦いで、キリストは完全な勝利を勝ち取られた。彼は決して戦いに敗北することはない。この戦争の最終的結果は、問題のあるものではない。この戦争に従事する者はみな、攻撃と防御のための完全な武具を身に着ける。いかなる緊急事態でも、利用可能な資源は同じであり、「すべての必要」を満たす。

代々にわたって、戦いがなされる時はいつでも、軍勢がいかに弱々しく見えたとしても、また、敵がいかに悪質で好戦的だったとしても、戦士たる聖徒たちは「圧倒的な勝利者」になった。われわれの同志たちの多くは亡くなって、もはや教会の軍隊には属していない。われわれは彼らを惜しむ。彼らの存在はわれわれを励ましてくれたし、彼らの響き渡る歓声は、熾烈な戦いの時に、新たな勇気をわれわれに吹き込んでくれた。

神に感謝すべきことに、他の者たちが前線に登場しつつある。若者からなる軍隊が、真実な、頼りになる、筋金入りの軍隊になりつつある。長く従軍してきて年を取っているにもかかわらず、引退する気のない人もいる。彼らは撤退するすべを知らない。この人たちは新兵に挨拶して、「イエス・キリストの良い兵士として困難を耐え忍べ」と、勝利の英雄の励ましの言葉を贈る。恐ろしい戦いのために軍勢が集結しつつある。サタンは自分の時が短いことを知っており、おとなしく戦場を去るつもりはない。すべての兵士よ、司令官なる御方に忠実であれ、危険や迫害が待ち構えているどんな場所にも喜々として進み行け、最大の激戦を前にして勝利を叫べ。

「喜べ、わが仲間たちよ、喜べ、
 戦いはすぐに終わる。」

これらの説教は、神の下で、数千の魂を祝福してきたし、多くの倦み疲れた戦士を元気づけてきた。どうか聖霊が、印刷されたこれらの説教に同在してくださり、さらに多くの人々を励ましてくださいますように。「最後に、私の兄弟たちよ、主にあって、その大能の力によって強くなりなさい」。われわれの人生が終わる時、われわれは戦場を去りつつ「私は良い戦いを戦った」と叫ぶだろう。われわれは本書を全地の兵士たちに勧める。また、著者の上に神の祝福を祈る。著者の傍らで、われわれは四半世紀以上にわたって戦ってきたのである。また、この「聖戦」に従軍しているすべての人の上に神の祝福を祈る。

ジョン・ペニントン
オハイソ州シンシナティ、一九〇四年三月四日