ヘブル人への手紙

第一章

1(かみ)は、むかしは、預言者(よげんしゃ)たちにより、いろいろな(とき)に、いろいろな方法(ほうほう)で、先祖(せんぞ)たちに(かた)られたが、 2この(おわ)りの(とき)には、御子(みこ)によって、わたしたちに(かた)られたのである。(かみ)御子(みこ)万物(ばんぶつ)相続者(そうぞくしゃ)(さだ)め、また、御子(みこ)によって、もろもろの世界(せかい)(つく)られた。 3御子(みこ)(かみ)栄光(えいこう)(かがや)きであり、(かみ)本質(ほんしつ)(しん)姿(すがた)であって、その(ちから)ある言葉(ことば)をもって万物(ばんぶつ)(たも)っておられる。そして(つみ)のきよめのわざをなし()えてから、いと(たか)(ところ)にいます大能者(たいのうしゃ)(みぎ)に、()につかれたのである。 4御子(みこ)は、その()()がれた()御使(みつかい)たちの()にまさっているので、(かれ)らよりもすぐれた(もの)となられた。 5いったい、(かみ)御使(みつかい)たちのだれに(たい)して、
「あなたこそは、わたしの()
きょう、わたしはあなたを()んだ」
()い、さらにまた、
「わたしは(かれ)(ちち)となり、
(かれ)はわたしの()となるであろう」
()われたことがあるか。 6さらにまた、(かみ)は、その長子(ちょうし)世界(せかい)(みちび)()れるに(あた)って、
(かみ)御使(みつかい)たちはことごとく、(かれ)(はい)すべきである」
()われた。 7また、御使(みつかい)たちについては、
(かみ)は、御使(みつかい)たちを(かぜ)とし、
自分(じぶん)(つか)える(もの)たちを(ほのお)とされる」
()われているが、 8御子(みこ)については、
(かみ)よ、あなたの御座(みざ)は、世々(よよ)(かぎ)りなく(つづ)き、
あなたの支配(しはい)のつえは、公平(こうへい)のつえである。
9あなたは()(あい)し、不法(ふほう)(にく)まれた。
それゆえに、(かみ)、あなたの(かみ)は、(よろこ)びのあぶらを、
あなたの(とも)(そそ)ぐよりも(おお)く、あなたに(そそ)がれた」
()い、 10さらに、
(しゅ)よ、あなたは(はじ)めに、()(もとい)をおすえになった。
もろもろの(てん)も、み()のわざである。
11これらのものは(ほろ)びてしまうが、
あなたは、いつまでもいますかたである。
すべてのものは(ころも)のように(ふる)び、
12それらをあなたは、外套(がいとう)のように()かれる。
これらのものは、(ころも)のように(かわ)るが、
あなたは、いつも(かわ)ることがなく、
あなたのよわいは、()きることがない」
とも()われている。 13(かみ)は、御使(みつかい)たちのだれに(たい)して、
「あなたの(てき)を、あなたの(あし)(だい)とするときまでは、
わたしの(みぎ)()していなさい」
()われたことがあるか。 14御使(みつかい)たちはすべて(つか)える(れい)であって、(すくい)()()ぐべき人々(ひとびと)奉仕(ほうし)するため、つかわされたものではないか。

第二章

1こういうわけだから、わたしたちは()かされていることを、いっそう(つよ)(こころ)()めねばならない。そうでないと、おし(なが)されてしまう。 2というのは、御使(みつかい)たちをとおして(かた)られた御言(みことば)効力(こうりょく)()ち、あらゆる罪過(ざいか)()従順(じゅうじゅん)とに(たい)して正当(せいとう)(むく)いが(くわ)えられたとすれば、 3わたしたちは、こんなに(たっと)(すくい)をなおざりにしては、どうして(むく)いをのがれることができようか。この(すくい)は、(はじ)(しゅ)によって(かた)られたものであって、()いた人々(ひとびと)からわたしたちにあかしされ、 4さらに(かみ)も、しるしと不思議(ふしぎ)とさまざまな(ちから)あるわざとにより、また、御旨(みむね)(したが)聖霊(せいれい)各自(かくじ)(たま)うことによって、あかしをされたのである。
5いったい、(かみ)は、わたしたちがここで(かた)っているきたるべき世界(せかい)を、御使(みつかい)たちに服従(ふくじゅう)させることは、なさらなかった。 6聖書(せいしょ)はある箇所(かしょ)で、こうあかししている、
人間(にんげん)何者(なにもの)だから、
これを()(こころ)()められるのだろうか。
(ひと)()何者(なにもの)だから、
これをかえりみられるのだろうか。
7あなたは、しばらくの(あいだ)
(かれ)御使(みつかい)たちよりも(ひく)(もの)となし、
栄光(えいこう)とほまれとを(かんむり)として(かれ)(あた)え、
8万物(ばんぶつ)をその(あし)(した)服従(ふくじゅう)させて(くだ)さった」。
万物(ばんぶつ)(かれ)服従(ふくじゅう)させて(くだ)さった」という以上(いじょう)服従(ふくじゅう)しないものは、(なに)ひとつ(のこ)されていないはずである。しかし、(いま)もなお万物(ばんぶつ)(かれ)服従(ふくじゅう)している事実(じじつ)を、わたしたちは()ていない。 9ただ、「しばらくの(あいだ)御使(みつかい)たちよりも(ひく)(もの)とされた」イエスが、()(くる)しみのゆえに、栄光(えいこう)とほまれとを(かんむり)として(あた)えられたのを()る。それは、(かれ)(かみ)(めぐ)みによって、すべての(ひと)のために()(あじ)わわれるためであった。 10なぜなら、万物(ばんぶつ)()すべきかた、万物(ばんぶつ)(つく)られたかたが、(おお)くの()らを栄光(えいこう)(みちび)くのに、(かれ)らの(すくい)(きみ)を、苦難(くなん)をとおして(まっと)うされたのは、(かれ)にふさわしいことであったからである。 11(じつ)に、きよめるかたも、きよめられる(もの)たちも、(みな)ひとりのかたから()ている。それゆえに(しゅ)は、(かれ)らを兄弟(きょうだい)()ぶことを(はじ)とされない。 12すなわち、
「わたしは、御名(みな)をわたしの兄弟(きょうだい)たちに()()らせ、
教会(きょうかい)(なか)で、あなたをほめ(うた)おう」
()い、 13また、
「わたしは、(かれ)により(たの)む」、
また、
()よ、わたしと、(かみ)がわたしに(たま)わった()らとは」
()われた。 14このように、()たちは()(にく)とに(とも)にあずかっているので、イエスもまた同様(どうよう)に、それらをそなえておられる。それは、()(ちから)()(もの)、すなわち悪魔(あくま)を、ご自分(じぶん)()によって(ほろ)ぼし、 15()恐怖(きょうふ)のために(いっ)生涯(しょうがい)奴隷(どれい)となっていた(もの)たちを、()(はな)つためである。 16(たし)かに、(かれ)天使(てんし)たちを(たす)けることはしないで、アブラハムの子孫(しそん)(たす)けられた。 17そこで、イエスは、(かみ)のみまえにあわれみ(ぶか)忠実(ちゅうじつ)大祭司(だいさいし)となって、(たみ)(つみ)をあがなうために、あらゆる(てん)において兄弟(きょうだい)たちと(おな)じようにならねばならなかった。 18(しゅ)自身(じしん)試錬(しれん)()けて(くる)しまれたからこそ、試錬(しれん)(なか)にある(もの)たちを(たす)けることができるのである。

第三章

1そこで、(てん)()しにあずかっている(せい)なる兄弟(きょうだい)たちよ。あなたがたは、わたしたちが告白(こくはく)する信仰(しんこう)使者(ししゃ)また大祭司(だいさいし)なるイエスを、(おも)いみるべきである。 2(かれ)は、モーセが(かみ)(いえ)全体(ぜんたい)(たい)して忠実(ちゅうじつ)であったように、自分(じぶん)()てたかたに(たい)して忠実(ちゅうじつ)であられた。 3おおよそ、(いえ)(つく)(もの)(いえ)そのものよりもさらに(たっと)ばれるように、(かれ)は、モーセ以上(いじょう)に、(おお)いなる光栄(こうえい)()けるにふさわしい(もの)とされたのである。 4(いえ)はすべて、だれかによって(つく)られるものであるが、すべてのものを(つく)られたかたは、(かみ)である。 5さて、モーセは、(のち)(かた)らるべき(こと)がらについてあかしをするために、(つか)える(もの)として、(かみ)(いえ)全体(ぜんたい)(たい)して忠実(ちゅうじつ)であったが、 6キリストは御子(みこ)として、(かみ)(いえ)(おさ)めるのに忠実(ちゅうじつ)であられたのである。もしわたしたちが、(のぞ)みの確信(かくしん)(ほこり)とを最後(さいご)までしっかりと()(つづ)けるなら、わたしたちは(かみ)(いえ)なのである。 7だから、聖霊(せいれい)()っているように、
「きょう、あなたがたがみ(こえ)()いたなら、
8荒野(あらの)における試錬(しれん)()に、
(かみ)にそむいた(とき)のように、
あなたがたの(こころ)を、かたくなにしてはいけない。
9あなたがたの先祖(せんぞ)たちは、
そこでわたしを(こころ)みためし、
10しかも、四十(ねん)(あいだ)わたしのわざを()たのである。
だから、わたしはその時代(じだい)人々(ひとびと)(たい)して、
いきどおって()った、
(かれ)らの(こころ)は、いつも(まよ)っており、
(かれ)らは、わたしの(みち)(みと)めなかった。
11そこで、わたしは(いか)って、(かれ)らをわたしの安息(あんそく)にはいらせることはしない、と(ちか)った」。
12兄弟(きょうだい)たちよ。()をつけなさい。あなたがたの(なか)には、あるいは、()信仰(しんこう)(わる)(こころ)をいだいて、()ける(かみ)から(はな)()(もの)があるかも()れない。 13あなたがたの(なか)に、(つみ)(まど)わしに(おちい)って、(こころ)をかたくなにする(もの)がないように、「きょう」といううちに、日々(ひび)(たがい)(はげ)まし()いなさい。 14もし最初(さいしょ)確信(かくしん)を、最後(さいご)までしっかりと()(つづ)けるならば、わたしたちはキリストにあずかる(もの)となるのである。 15それについて、こう()われている、
「きょう、み(こえ)()いたなら、
(かみ)にそむいた(とき)のように、
あなたがたの(こころ)を、かたくなにしてはいけない」。
16すると、()いたのにそむいたのは、だれであったのか。モーセに(ひき)いられて、エジプトから()()ったすべての人々(ひとびと)ではなかったか。 17また、四十(ねん)(あいだ)(かみ)がいきどおられたのはだれに(たい)してであったか。(つみ)(おか)して、その()かばねを荒野(あらの)にさらした(もの)たちに(たい)してではなかったか。 18また、(かみ)が、わたしの安息(あんそく)に、はいらせることはしない、と(ちか)われたのは、だれに()かってであったか。()従順(じゅうじゅん)(もの)()かってではなかったか。 19こうして、(かれ)らがはいることのできなかったのは、()信仰(しんこう)のゆえであることがわかる。

第四章

1それだから、(かみ)安息(あんそく)にはいるべき約束(やくそく)が、まだ存続(そんぞく)しているにかかわらず、万一(まんいち)にも、はいりそこなう(もの)が、あなたがたの(なか)から()ることがないように、注意(ちゅうい)しようではないか。 2というのは、(かれ)らと(おな)じく、わたしたちにも福音(ふくいん)(つた)えられているのである。しかし、その()いた御言(みことば)は、(かれ)らには無益(むえき)であった。それが、()いた(もの)たちに、信仰(しんこう)によって(むす)びつけられなかったからである。 3ところが、わたしたち(しん)じている(もの)は、安息(あんそく)にはいることができる。それは、
「わたしが(いか)って、
(かれ)らをわたしの安息(あんそく)に、はいらせることはしないと、(ちか)ったように」
()われているとおりである。しかも、みわざは()(はじ)めに、でき()がっていた。 4すなわち、聖書(せいしょ)のある箇所(かしょ)で、七日(なぬか)()のことについて、「(かみ)は、七日(なぬか)()にすべてのわざをやめて(やす)まれた」と()われており、 5またここで、「(かれ)らをわたしの安息(あんそく)に、はいらせることはしない」と()われている。 6そこで、その安息(あんそく)にはいる機会(きかい)が、人々(ひとびと)になお(のこ)されているのであり、しかも、(はじ)めに福音(ふくいん)(つた)えられた人々(ひとびと)は、()従順(じゅうじゅん)のゆえに、はいることをしなかったのであるから、 7(かみ)は、あらためて、ある()を「きょう」として(さだ)め、(なが)(とき)がたってから、(さき)引用(いんよう)したとおり、
「きょう、み(こえ)()いたなら、
あなたがたの(こころ)を、かたくなにしてはいけない」
とダビデをとおして()われたのである。 8もしヨシュアが(かれ)らを(やす)ませていたとすれば、(かみ)はあとになって、ほかの()のことについて(かた)られたはずはない。 9こういうわけで、安息日(あんそくにち)(やす)みが、(かみ)(たみ)のためにまだ(のこ)されているのである。 10なぜなら、(かみ)安息(あんそく)にはいった(もの)は、(かみ)がみわざをやめて(やす)まれたように、自分(じぶん)もわざを(やす)んだからである。 11したがって、わたしたちは、この安息(あんそく)にはいるように努力(どりょく)しようではないか。そうでないと、(おな)じような()従順(じゅうじゅん)悪例(あくれい)にならって、()ちて()(もの)()るかもしれない。 12というのは、(かみ)(ことば)()きていて、(ちから)があり、もろ()のつるぎよりも(するど)くて、精神(せいしん)霊魂(れいこん)と、関節(かんせつ)骨髄(こつづい)とを()(はな)すまでに()しとおして、(こころ)(おも)いと(こころざし)とを見分(みわ)けることができる。 13そして、(かみ)のみまえには、あらわでない()造物(ぞうぶつ)はひとつもなく、すべてのものは、(かみ)()には(はだか)であり、あらわにされているのである。この(かみ)(たい)して、わたしたちは()(ひら)きをしなくてはならない。
14さて、わたしたちには、もろもろの(てん)をとおって()かれた大祭司(だいさいし)なる(かみ)()イエスがいますのであるから、わたしたちの告白(こくはく)する信仰(しんこう)をかたく(まも)ろうではないか。 15この大祭司(だいさいし)は、わたしたちの(よわ)さを(おも)いやることのできないようなかたではない。(つみ)(おか)されなかったが、すべてのことについて、わたしたちと(おな)じように試錬(しれん)()われたのである。 16だから、わたしたちは、あわれみを()け、また、(めぐ)みにあずかって時機(じき)()(たす)けを()けるために、はばかることなく(めぐ)みの御座(みざ)(ちか)づこうではないか。

第五章

1大祭司(だいさいし)なるものはすべて、人間(にんげん)(なか)から(えら)ばれて、(つみ)のために(そな)(もの)といけにえとをささげるように、人々(ひとびと)のために(かみ)(つか)える(やく)(にん)じられた(もの)である。 2(かれ)自分(じぶん)自身(じしん)(よわ)さを()()うているので、無知(むち)(まよ)っている人々(ひとびと)を、(おも)いやることができると(とも)に、 3その(よわ)さのゆえに、(たみ)のためだけではなく自分(じぶん)自身(じしん)のためにも、(つみ)についてささげものをしなければならないのである。 4かつ、だれもこの栄誉(えいよ)ある(つとめ)自分(じぶん)()るのではなく、アロンの場合(ばあい)のように、(かみ)()しによって()けるのである。 5同様(どうよう)に、キリストもまた、大祭司(だいさいし)栄誉(えいよ)自分(じぶん)()たのではなく、
「あなたこそは、わたしの()
きょう、わたしはあなたを()んだ」
()われたかたから、お()けになったのである。 6また、ほかの箇所(かしょ)でこう()われている、
「あなたこそは、永遠(えいえん)に、
メルキゼデクに(ひと)しい祭司(さいし)である」。
7キリストは、その(にく)生活(せいかつ)(とき)には、(はげ)しい(さけ)びと(なみだ)とをもって、ご自分(じぶん)()から(すく)(ちから)のあるかたに、(いのり)(ねが)いとをささげ、そして、その(ふか)信仰(しんこう)のゆえに()きいれられたのである。 8(かれ)御子(みこ)であられたにもかかわらず、さまざまの(くる)しみによって従順(じゅうじゅん)(まな)び、 9そして、(まった)(もの)とされたので、(かれ)従順(じゅうじゅん)であるすべての(ひと)(たい)して、永遠(えいえん)(すくい)(みなもと)となり、 10(かみ)によって、メルキゼデクに(ひと)しい大祭司(だいさいし)と、となえられたのである。
11このことについては、()いたいことがたくさんあるが、あなたがたの(みみ)(にぶ)くなっているので、それを()()かすことはむずかしい。 12あなたがたは、(ひさ)しい以前(いぜん)からすでに教師(きょうし)となっているはずなのに、もう一()(かみ)(ことば)初歩(しょほ)を、(ひと)から()ほどきしてもらわねばならない始末(しまつ)である。あなたがたは(かた)食物(しょくもつ)ではなく、(ちち)必要(ひつよう)としている。 13すべて(ちち)()んでいる(もの)は、(おさ)()なのだから、()言葉(ことば)(あじ)わうことができない。 14しかし、(かた)食物(しょくもつ)は、善悪(ぜんあく)()わける感覚(かんかく)実際(じっさい)(はたら)かせて訓練(くんれん)された成人(せいじん)のとるべきものである。

第六章

1そういうわけだから、わたしたちは、キリストの(おしえ)初歩(しょほ)をあとにして、完成(かんせい)()ざして(すすむ)もうではないか。(いま)さら、()んだ(おこな)いの悔改(くいあらた)めと(かみ)への信仰(しんこう)2(あら)いごとについての(おしえ)按手(あんしゅ)死人(しにん)復活(ふっかつ)永遠(えいえん)のさばき、などの基本(きほん)(おしえ)をくりかえし(まな)ぶことをやめようではないか。 3(かみ)(ゆる)しを()て、そうすることにしよう。 4いったん、(ひかり)()けて(てん)よりの賜物(たまもの)(あじ)わい、聖霊(せいれい)にあずかる(もの)となり、 5また、(かみ)()きみ言葉(ことば)と、きたるべき()(ちから)とを(あじ)わった(もの)たちが、 6そののち堕落(だらく)した場合(ばあい)には、またもや(かみ)御子(みこ)を、(みずか)十字架(じゅうじか)につけて、さらしものにするわけであるから、ふたたび悔改(くいあらた)めにたち(かえ)ることは不可能(ふかのう)である。 7たとえば、土地(とち)が、その(うえ)にたびたび()(あめ)()(こん)で、(たがや)人々(ひとびと)役立(やくだ)作物(さくもつ)(そだ)てるなら、(かみ)祝福(しゅくふく)にあずかる。 8しかし、いばらやあざみをはえさせるなら、それは無用(むよう)になり、やがてのろわれ、ついには()かれてしまう。
9しかし、(あい)する(もの)たちよ。こうは()うものの、わたしたちは、(すくい)にかかわる(さら)()いことがあるのを、あなたがたについて確信(かくしん)している。 10(かみ)不義(ふぎ)なかたではないから、あなたがたの(はたら)きや、あなたがたがかつて聖徒(せいと)(つか)え、(いま)もなお(つか)えて、御名(みな)のために(しめ)してくれた(あい)を、お(わす)れになることはない。 11わたしたちは、あなたがたがひとり(のこ)らず、最後(さいご)まで(のぞ)みを()ちつづけるためにも、(おな)熱意(ねつい)(しめ)し、 12(おこた)ることがなく、信仰(しんこう)忍耐(にんたい)とをもって約束(やくそく)のものを()()人々(ひとびと)見習(みなら)(もの)となるように、と(ねが)ってやまない。
13さて、(かみ)がアブラハムに(たい)して約束(やくそく)されたとき、さして(ちか)うのに、ご自分(じぶん)よりも(うえ)のものがないので、ご自分(じぶん)をさして(ちか)って、 14「わたしは、(かなら)ずあなたを祝福(しゅくふく)し、(かなら)ずあなたの子孫(しそん)をふやす」と()われた。 15このようにして、アブラハムは忍耐(にんたい)(づよ)()ったので、約束(やくそく)のものを()たのである。 16いったい、人間(にんげん)自分(じぶん)より(うえ)のものをさして(ちか)うのであり、そして、その(ちか)いはすべての反対(はんたい)(ろん)(ふう)じる保証(ほしょう)となるのである。 17そこで、(かみ)は、約束(やくそく)のものを()()人々(ひとびと)に、ご計画(けいかく)不変(ふへん)であることを、いっそうはっきり(しめ)そうと(おも)われ、(ちか)いによって保証(ほしょう)されたのである。 18それは、(いつわ)ることのあり()ない(かみ)()てられた二つの不変(ふへん)(こと)がらによって、(まえ)におかれている(のぞ)みを(とら)えようとして()をのがれてきたわたしたちが、力強(ちからづよ)(はげ)ましを()けるためである。 19この(のぞ)みは、わたしたちにとって、いわば、たましいを安全(あんぜん)にし不動(ふどう)にする(いかり)であり、かつ「(まく)(うち)」にはいり()かせるものである。 20その(まく)(うち)に、イエスは、永遠(えいえん)にメルキゼデクに(ひと)しい大祭司(だいさいし)として、わたしたちのためにさきがけとなって、はいられたのである。

第七章

1このメルキゼデクはサレムの(おう)であり、いと(たか)(かみ)祭司(さいし)であったが、(おう)たちを撃破(げきは)して(かえ)るアブラハムを(むか)えて祝福(しゅくふく)し、 2それに(たい)して、アブラハムは(かれ)にすべての(もの)の十(ぶん)の一を()(あた)えたのである。その()意味(いみ)は、(だい)一に()(おう)(つぎ)にまたサレムの(おう)、すなわち平和(へいわ)(おう)である。 3(かれ)には(ちち)がなく、(はは)がなく、系図(けいず)がなく、生涯(しょうがい)(はじ)めもなく、生命(せいめい)(おわ)りもなく、(かみ)()のようであって、いつまでも祭司(さいし)なのである。
4そこで、族長(ぞくちょう)のアブラハムが(もっと)もよいぶんどり(ひん)の十(ぶん)の一を(あた)えたのだから、この(ひと)がどんなにすぐれた人物(じんぶつ)であったかが、あなたがたにわかるであろう。 5さて、レビの()のうちで祭司(さいし)(つとめ)をしている(もの)たちは、兄弟(きょうだい)である(たみ)から、(おな)じくアブラハムの子孫(しそん)であるにもかかわらず、十(ぶん)の一を()るように、律法(りっぽう)によって(めい)じられている。 6ところが、(かれ)らの血統(けっとう)(ぞく)さないこの(ひと)が、アブラハムから十(ぶん)の一を()けとり、約束(やくそく)()けている(もの)祝福(しゅくふく)したのである。 7()うまでもなく、(しょう)なる(もの)(おお)なる(もの)から祝福(しゅくふく)()けるのである。 8その(うえ)一方(いっぽう)では()ぬべき人間(にんげん)が、十(ぶん)の一を()けているが、他方(たほう)では「(かれ)()きている(もの)」とあかしされた(ひと)が、それを()けている。 9そこで、十(ぶん)の一を()けるべきレビでさえも、アブラハムを(つう)じて十(ぶん)の一を(おさ)めた、と()える。 10なぜなら、メルキゼデクがアブラハムを(むか)えた(とき)には、レビはまだこの父祖(ふそ)(こし)(なか)にいたからである。
11もし(まっと)うされることがレビ(けい)祭司(さいし)(せい)によって可能(かのう)であったら——(たみ)祭司(さいし)(せい)(もと)律法(りっぽう)(あた)えられたのであるが——なんの必要(ひつよう)があって、なお、「アロンに(ひと)しい」と()ばれない、(べつ)な「メルキゼデクに(ひと)しい」祭司(さいし)()てられるのであるか。 12祭司(さいし)(せい)変更(へんこう)があれば、律法(りっぽう)にも(かなら)変更(へんこう)があるはずである。 13さて、これらのことは、いまだかつて祭壇(さいだん)奉仕(ほうし)したことのない、()部族(ぶぞく)(かん)して()われているのである。 14というのは、わたしたちの(しゅ)がユダ(ぞく)(なか)から()られたことは、(あき)らかであるが、モーセは、この部族(ぶぞく)について、祭司(さいし)(かん)することでは、ひとことも()っていない。 15そしてこの(こと)は、メルキゼデクと同様(どうよう)な、ほかの祭司(さいし)()てられたことによって、ますます明白(めいはく)になる。 16(かれ)は、(にく)につける(いまし)めの律法(りっぽう)によらないで、()ちることのないいのちの(ちから)によって()てられたのである。 17それについては、聖書(せいしょ)に「あなたこそは、永遠(えいえん)に、メルキゼデクに(ひと)しい祭司(さいし)である」とあかしされている。 18このようにして、一方(いっぽう)では、(まえ)(いまし)めが(よわ)くかつ無益(むえき)であったために無効(むこう)になると(とも)に、 19律法(りっぽう)は、何事(なにごと)をも(まっと)うし()なかったからである)、他方(たほう)では、さらにすぐれた(のぞ)みが(あらわ)れてきて、わたしたちを(かみ)(ちか)づかせるのである。 20その(うえ)に、このことは(ちか)いをもってなされた。人々(ひとびと)は、(ちか)いをしないで祭司(さいし)とされるのであるが、 21この(ひと)場合(ばあい)は、(つぎ)のような(ちか)いをもってされたのである。すなわち、(かれ)について、こう()われている、「(しゅ)(ちか)われたが、(こころ)()えることをされなかった。あなたこそは、永遠(えいえん)祭司(さいし)である」。 22このようにして、イエスは(さら)にすぐれた契約(けいやく)保証(ほしょう)となられたのである。 23かつ、()ということがあるために、(つとめ)(つづ)けることができないので、(おお)くの人々(ひとびと)祭司(さいし)()てられるのである。 24しかし(かれ)は、永遠(えいえん)にいますかたであるので、(かわ)らない祭司(さいし)(つとめ)()ちつづけておられるのである。 25そこでまた、(かれ)は、いつも()きていて(かれ)らのためにとりなしておられるので、(かれ)によって(かみ)()人々(ひとびと)を、いつも(すく)うことができるのである。
26このように、(せい)にして、(あく)(けが)れもなく、罪人(つみびと)とは区別(くべつ)され、かつ、もろもろの(てん)よりも(たか)くされている大祭司(だいさいし)こそ、わたしたちにとってふさわしいかたである。 27(かれ)は、ほかの大祭司(だいさいし)のように、まず自分(じぶん)(つみ)のため、(つぎ)(たみ)(つみ)のために、日々(ひび)、いけにえをささげる必要(ひつよう)はない。なぜなら、自分(じぶん)をささげて、一()だけ、それをされたからである。 28律法(りっぽう)は、(よわ)さを()()人間(にんげん)()てて大祭司(だいさいし)とするが、律法(りっぽう)(のち)にきた(ちか)いの御言(みことば)は、永遠(えいえん)(まっと)うされた御子(みこ)()てて、大祭司(だいさいし)としたのである。

第八章

1以上(いじょう)()べたことの要点(ようてん)は、このような大祭司(だいさいし)がわたしたちのためにおられ、(てん)にあって大能者(たいのうしゃ)御座(みざ)(みぎ)()し、 2人間(にんげん)によらず(しゅ)によって(もう)けられた(しん)幕屋(まくや)なる聖所(せいじょ)(つか)えておられる、ということである。 3おおよそ、大祭司(だいさいし)()てられるのは、(そな)(もの)やいけにえをささげるためにほかならない。したがって、この大祭司(だいさいし)もまた、(なに)かささぐべき(もの)()っておられねばならない。 4そこで、もし(かれ)地上(ちじょう)におられたなら、律法(りっぽう)にしたがって(そな)(もの)をささげる祭司(さいし)たちが、(げん)にいるのだから、(かれ)祭司(さいし)ではあり()なかったであろう。 5(かれ)らは、(てん)にある聖所(せいじょ)のひな(がた)(かげ)とに(つか)えている(もの)にすぎない。それについては、モーセが幕屋(まくや)()てようとしたとき、()()げを()け、「(やま)(しめ)された(かた)どおりに、注意(ちゅうい)してそのいっさいを(つく)りなさい」と()われたのである。 6ところがキリストは、はるかにすぐれた(つとめ)()られたのである。それは、さらにまさった約束(やくそく)(もとづ)いて()てられた、さらにまさった契約(けいやく)仲保者(ちゅうほしゃ)となられたことによる。 7もし(はじ)めの契約(けいやく)()けたところがなかったなら、あとのものが()てられる余地(よち)はなかったであろう。 8ところが、(かみ)(かれ)らを()めて()われた、
(しゅ)()われる、()よ、
わたしがイスラエルの(いえ)およびユダの(いえ)と、
(あたら)しい契約(けいやく)(むす)()()る。
9それは、わたしが(かれ)らの先祖(せんぞ)たちの()をとって、
エジプトの()から(みち)()した()に、
(かれ)らと(むす)んだ契約(けいやく)のようなものではない。
(かれ)らがわたしの契約(けいやく)にとどまることをしないので、
わたしも(かれ)らをかえりみなかったからであると、
(しゅ)()われる。
10わたしが、それらの()(のち)、イスラエルの(いえ)()てようとする契約(けいやく)はこれである、と(しゅ)()われる。
すなわち、わたしの律法(りっぽう)(かれ)らの(おも)いの(なか)()れ、
(かれ)らの(こころ)()きつけよう。
こうして、わたしは(かれ)らの(かみ)となり、
(かれ)らはわたしの(たみ)となるであろう。
11(かれ)らは、それぞれ、その同胞(どうほう)に、
また、それぞれ、その兄弟(きょうだい)に、
(しゅ)()れ、と()って(おし)えることはなくなる。
なぜなら、(おお)なる(もの)から(しょう)なる(もの)(いた)るまで、
(かれ)らはことごとく、
わたしを()るようになるからである。
12わたしは、(かれ)らの不義(ふぎ)をあわれみ、
もはや、(かれ)らの(つみ)(おも)()すことはしない」。
13(かみ)は、「(あたら)しい」と()われたことによって、(はじ)めの契約(けいやく)(ふる)いとされたのである。(とし)()(ふる)びたものは、やがて()えていく。

第九章

1さて、(はじ)めの契約(けいやく)にも、礼拝(れいはい)についてのさまざまな規定(きてい)と、地上(ちじょう)聖所(せいじょ)とがあった。 2すなわち、まず幕屋(まくや)(もう)けられ、その(まえ)場所(ばしょ)には燭台(しょくだい)(つくえ)(そな)えのパンとが()かれていた。これが、聖所(せいじょ)()ばれた。 3また(だい)二の(まく)(のち)に、(べつ)場所(ばしょ)があり、それは至聖所(しせいじょ)()ばれた。 4そこには(きん)(こう)(だん)全面(ぜんめん)(きん)でおおわれた契約(けいやく)(はこ)とが()かれ、その(なか)にはマナのはいっている(きん)のつぼと、()()したアロンのつえと、契約(けいやく)石板(いしいた)とが()れてあり、 5(はこ)(うえ)には栄光(えいこう)(かがや)くケルビムがあって、贖罪所(しょくざいしょ)をおおっていた。これらのことについては、(いま)ここで、いちいち()べることができない。 6これらのものが、以上(いじょう)のように(ととの)えられた(うえ)で、祭司(さいし)たちは(つね)幕屋(まくや)(まえ)場所(ばしょ)にはいって礼拝(れいはい)をするのであるが、 7幕屋(まくや)(おく)には大祭司(だいさいし)(ねん)に一()だけはいるのであり、しかも自分(じぶん)自身(じしん)(たみ)とのあやまちのためにささげる()をたずさえないで()くことはない。 8それによって聖霊(せいれい)は、前方(ぜんぽう)幕屋(まくや)存在(そんざい)している(かぎ)り、聖所(せいじょ)にはいる(みち)はまだ(ひら)かれていないことを、(あき)らかに(しめ)している。 9この幕屋(まくや)というのは(いま)時代(じだい)(たい)する比喩(ひゆ)である。すなわち、(そな)(もの)やいけにえはささげられるが、儀式(ぎしき)にたずさわる(もの)良心(りょうしん)(まっと)うすることはできない。 10それらは、ただ食物(しょくもつ)()(もの)種々(しゅじゅ)(あら)いごとに(かん)する行事(ぎょうじ)であって、改革(かいかく)(とき)まで()せられている(にく)規定(きてい)にすぎない。
11しかしキリストがすでに(あらわ)れた祝福(しゅくふく)大祭司(だいさいし)としてこられたとき、()(つく)られず、この()界に(ぞく)さない、さらに(おお)きく、完全(かんぜん)幕屋(まくや)をとおり、 12かつ、やぎと()(うし)との()によらず、ご自身(じしん)()によって、一()だけ聖所(せいじょ)にはいられ、それによって永遠(えいえん)のあがないを(まっと)うされたのである。 13もし、やぎや()(うし)()雌牛(めうし)(はい)が、(けが)れた(ひと)たちの(うえ)にまきかけられて、肉体(にくたい)をきよめ(せい)(べつ)するとすれば、 14永遠(えいえん)聖霊(せいれい)によって、ご自身(じしん)(きず)なき(もの)として(かみ)にささげられたキリストの()は、なおさら、わたしたちの良心(りょうしん)をきよめて()んだわざを()(のぞ)き、()ける(かみ)(つか)える(もの)としないであろうか。 15それだから、キリストは(あたら)しい契約(けいやく)仲保者(ちゅうほしゃ)なのである。それは、(かれ)(はじ)めの契約(けいやく)のもとで(おか)した罪過(ざいか)をあがなうために()なれた結果(けっか)()された(もの)たちが、約束(やくそく)された永遠(えいえん)(くに)()()ぐためにほかならない。
16いったい、遺言(ゆいごん)には、遺言者(ゆいごんしゃ)()証明(しょうめい)必要(ひつよう)である。 17遺言(ゆいごん)()によってのみその効力(こうりょく)(しょう)じ、遺言者(ゆいごんしゃ)()きている(あいだ)は、効力(こうりょく)がない。 18だから、(はじ)めの契約(けいやく)も、()(なが)すことなしに成立(せいりつ)したのではない。 19すなわち、モーセが、律法(りっぽう)(したが)ってすべての(いまし)めを(たみ)全体(ぜんたい)宣言(せんげん)したとき、(みず)赤色(あかいろ)羊毛(ようもう)とヒソプとの(ほか)に、()(うし)とやぎとの()()って、契約(けいやく)(しょ)(たみ)全体(ぜんたい)とにふりかけ、 20そして、「これは、(かみ)があなたがたに(たい)して()てられた契約(けいやく)()である」と()った。 21(かれ)はまた、幕屋(まくや)儀式(ぎしき)(よう)器具(きぐ)いっさいにも、同様(どうよう)()をふりかけた。 22こうして、ほとんどすべての(もの)が、律法(りっぽう)(したが)い、()によってきよめられたのである。()(なが)すことなしには、(つみ)のゆるしはあり()ない。
23このように、(てん)にあるもののひな(がた)は、これらのものできよめられる必要(ひつよう)があるが、(てん)にあるものは、これらより(さら)にすぐれたいけにえで、きよめられねばならない。 24ところが、キリストは、ほんとうのものの模型(もけい)にすぎない、()(つく)った聖所(せいじょ)にはいらないで、(うえ)なる(てん)にはいり、(いま)やわたしたちのために(かみ)のみまえに()(くだ)さったのである。 25大祭司(だいさいし)は、(とし)ごとに、自分(じぶん)以外(いがい)のものの()をたずさえて聖所(せいじょ)にはいるが、キリストは、そのように、たびたびご自身(じしん)をささげられるのではなかった。 26もしそうだとすれば、()(はじ)めから、たびたび苦難(くなん)()けねばならなかったであろう。しかし事実(じじつ)、ご自身(じしん)をいけにえとしてささげて(つみ)()(のぞ)くために、()(おわ)りに、一()だけ(あらわ)れたのである。 27そして、一()だけ()ぬことと、()んだ(のち)さばきを()けることとが、人間(にんげん)(さだ)まっているように、 28キリストもまた、(おお)くの(ひと)(つみ)()うために、一()だけご自身(じしん)をささげられた(のち)(かれ)()(のぞ)んでいる人々(ひとびと)に、(つみ)()うためではなしに二度目(どめ)(あらわ)れて、(すくい)(あた)えられるのである。

第十章

1いったい、律法(りっぽう)はきたるべき()いことの(かげ)をやどすにすぎず、そのものの(しん)のかたちをそなえているものではないから、(とし)ごとに()きつづきささげられる(おな)じようないけにえによっても、みまえに(ちか)づいて()(もの)たちを、(まっと)うすることはできないのである。 2もしできたとすれば、儀式(ぎしき)にたずさわる(もの)たちは、一()きよめられた以上(いじょう)、もはや(つみ)自覚(じかく)がなくなるのであるから、ささげ(もの)をすることがやんだはずではあるまいか。 3しかし実際(じっさい)は、(とし)ごとに、いけにえによって(つみ)(おも)()がよみがえって()るのである。 4なぜなら、()(うし)ややぎなどの()は、(つみ)(のぞ)()ることができないからである。 5それだから、キリストがこの()にこられたとき、(つぎ)のように()われた、
「あなたは、いけにえやささげ(もの)(のぞ)まれないで、
わたしのために、からだを(そな)えて(くだ)さった。
6あなたは燔祭(はんさい)罪祭(ざいさい)(この)まれなかった。
7その(とき)、わたしは()った、
(かみ)よ、わたしにつき、
巻物(まきもの)書物(しょもつ)()いてあるとおり、
()よ、御旨(みむね)(おこな)うためにまいりました』」。
8ここで、(はじ)めに、「あなたは、いけにえとささげ(もの)燔祭(はんさい)罪祭(ざいさい)と(すなわち、律法(りっぽう)(したが)ってささげられるもの)を(のぞ)まれず、(この)まれもしなかった」とあり、 9(つぎ)に、「()よ、わたしは御旨(みむね)(おこな)うためにまいりました」とある。すなわち、(かれ)は、(のち)のものを()てるために、(はじ)めのものを廃止(はいし)されたのである。 10この御旨(みむね)(もとづ)きただ一()イエス・キリストのからだがささげられたことによって、わたしたちはきよめられたのである。
11こうして、すべての祭司(さいし)()って()ごとに儀式(ぎしき)(おこな)い、たびたび(おな)じようないけにえをささげるが、それらは(けっ)して(つみ)(のぞ)()ることはできない。 12しかるに、キリストは(おお)くの(つみ)のために一つの永遠(えいえん)のいけにえをささげた(のち)(かみ)(みぎ)()し、 13それから、(てき)をその(あし)(だい)とするときまで、()っておられる。 14(かれ)は一つのささげ(もの)によって、きよめられた(もの)たちを永遠(えいえん)(まっと)うされたのである。 15聖霊(せいれい)もまた、わたしたちにあかしをして、
16「わたしが、それらの()(のち)
(かれ)らに(たい)して()てようとする契約(けいやく)はこれであると、
(しゅ)()われる。
わたしの律法(りっぽう)(かれ)らの(こころ)(あた)え、
(かれ)らの(おも)いのうちに()きつけよう」
()い、 17さらに、「もはや、(かれ)らの(つみ)(かれ)らの不法(ふほう)とを、(おも)()すことはしない」と()べている。 18これらのことに(たい)するゆるしがある以上(いじょう)(つみ)のためのささげ(もの)は、もはやあり()ない。
19兄弟(きょうだい)たちよ。こういうわけで、わたしたちはイエスの()によって、はばかることなく聖所(せいじょ)にはいることができ、 20(かれ)肉体(にくたい)なる(まく)をとおり、わたしたちのために(ひら)いて(くだ)さった(あたら)しい()きた(みち)をとおって、はいって()くことができるのであり、 21さらに、(かみ)(いえ)(おさ)める(おお)いなる祭司(さいし)があるのだから、 22(こころ)はすすがれて良心(りょうしん)のとがめを()り、からだは(きよ)(みず)(あら)われ、まごころをもって信仰(しんこう)確信(かくしん)()たされつつ、みまえに(ちか)づこうではないか。 23また、約束(やくそく)をして(くだ)さったのは忠実(ちゅうじつ)なかたであるから、わたしたちの告白(こくはく)する(のぞ)みを、(うご)くことなくしっかりと()(つづ)け、 24(あい)善行(ぜんこう)とを(はげ)むように(たがい)(つと)め、 25ある(ひと)たちがいつもしているように、集会(しゅうかい)をやめることはしないで(たがい)(はげ)まし、かの()(ちか)づいているのを()て、ますます、そうしようではないか。
26もしわたしたちが、真理(しんり)知識(ちしき)()けたのちにもなお、ことさらに(つみ)(おか)しつづけるなら、(つみ)のためのいけにえは、もはやあり()ない。 27ただ、さばきと、(さか)らう(もの)たちを()きつくす(はげ)しい()とを、(おそ)れつつ()つことだけがある。 28モーセの律法(りっぽう)無視(むし)する(もの)が、あわれみを()けることなしに、二、三の(ひと)証言(しょうげん)(もとづ)いて死刑(しけい)(しょ)せられるとすれば、 29(かみ)()()みつけ、自分(じぶん)がきよめられた契約(けいやく)()(けが)れたものとし、さらに(めぐ)みの御霊(みたま)(あなど)(もの)は、どんなにか(おも)刑罰(けいばつ)(あたい)することであろう。 30復讐(ふくしゅう)はわたしのすることである。わたし自身(じしん)報復(ほうふく)する」と()われ、また「(しゅ)はその(たみ)をさばかれる」と()われたかたを、わたしたちは()っている。 31()ける(かみ)のみ()のうちに()ちるのは、(おそ)ろしいことである。
32あなたがたは、(ひかり)(てら)されたのち、(くる)しい(おお)きな(たたか)いによく()えた(はじ)めのころのことを、(おも)()してほしい。 33そしられ(くる)しめられて()(もの)にされたこともあれば、このようなめに()った人々(ひとびと)仲間(なかま)にされたこともあった。 34さらに(ごく)()れられた人々(ひとびと)(おも)いやり、また、もっとまさった永遠(えいえん)(たから)()っていることを()って、自分(じぶん)財産(ざいさん)(うば)われても(よろこ)んでそれを(しの)んだ。 35だから、あなたがたは自分(じぶん)()っている確信(かくしん)放棄(ほうき)してはいけない。その確信(かくしん)には(おお)きな(むく)いが(ともな)っているのである。 36(かみ)御旨(みむね)(おこな)って約束(やくそく)のものを()けるため、あなたがたに必要(ひつよう)なのは、忍耐(にんたい)である。
37「もうしばらくすれば、
きたるべきかたがお()えになる。
(おそ)くなることはない。
38わが義人(ぎじん)は、信仰(しんこう)によって()きる。
もし信仰(しんこう)()てるなら、
わたしのたましいはこれを(よろこ)ばない」。
39しかしわたしたちは、信仰(しんこう)()てて(ほろ)びる(もの)ではなく、信仰(しんこう)()って、いのちを()(もの)である。

第十一章

1さて、信仰(しんこう)とは、(のぞ)んでいる(こと)がらを確信(かくしん)し、まだ()ていない事実(じじつ)確認(かくにん)することである。 2(むかし)(ひと)たちは、この信仰(しんこう)のゆえに賞賛(しょうさん)された。 3信仰(しんこう)によって、わたしたちは、この()界が(かみ)言葉(ことば)(つく)られたのであり、したがって、()えるものは(あらわ)れているものから()てきたのでないことを、(さと)るのである。 4信仰(しんこう)によって、アベルはカインよりもまさったいけにえを(かみ)にささげ、信仰(しんこう)によって()なる(もの)(みと)められた。(かみ)が、(かれ)(そな)(もの)をよしとされたからである。(かれ)()んだが、信仰(しんこう)によって(いま)もなお(かた)っている。 5信仰(しんこう)によって、エノクは()()ないように(てん)(うつ)された。(かみ)がお(うつ)しになったので、(かれ)()えなくなった。(かれ)(うつ)される(まえ)に、(かみ)(よろこ)ばれた(もの)と、あかしされていたからである。 6信仰(しんこう)がなくては、(かみ)(よろこ)ばれることはできない。なぜなら、(かみ)()(もの)は、(かみ)のいますことと、ご自身(じしん)(もと)める(もの)(むく)いて(くだ)さることとを、(かなら)(しん)じるはずだからである。 7信仰(しんこう)によって、ノアはまだ()ていない(こと)がらについて()()げを()け、(おそ)れかしこみつつ、その家族(かぞく)(すく)うために箱舟(はこぶね)(つく)り、その信仰(しんこう)によって()(つみ)をさばき、そして、信仰(しんこう)による()()()(もの)となった。 8信仰(しんこう)によって、アブラハムは、()()ぐべき()()()けとの()しをこうむった(とき)、それに(したが)い、()(さき)()らないで()()った。 9信仰(しんこう)によって、他国(たこく)にいるようにして約束(やくそく)()宿(やど)り、(おな)約束(やくそく)()ぐイサク、ヤコブと(とも)に、幕屋(まくや)()んだ。 10(かれ)は、ゆるがぬ土台(どだい)(うえ)()てられた(みやこ)を、()(のぞ)んでいたのである。その(みやこ)をもくろみ、また()てたのは、(かみ)である。 11信仰(しんこう)によって、サラもまた、年老(としお)いていたが、(たね)宿(やど)(ちから)(あた)えられた。約束(やくそく)をなさったかたは真実(しんじつ)であると、(しん)じていたからである。 12このようにして、ひとりの()んだと同様(どうよう)(ひと)から、(てん)(ほし)のように、(うみ)べの(かぞ)えがたい(すな)のように、おびただしい(ひと)(うま)れてきたのである。
13これらの(ひと)はみな、信仰(しんこう)をいだいて()んだ。まだ約束(やくそく)のものは()けていなかったが、はるかにそれを(のぞ)()(よろこ)び、そして、地上(ちじょう)では旅人(たびびと)であり寄留者(きりゅうしゃ)であることを、(みずか)()いあらわした。 14そう()いあらわすことによって、(かれ)らがふるさとを(もと)めていることを(しめ)している。 15もしその()てきた(ところ)のことを(かんが)えていたなら、(かえ)機会(きかい)はあったであろう。 16しかし実際(じっさい)(かれ)らが(のぞ)んでいたのは、もっと()い、(てん)にあるふるさとであった。だから(かみ)は、(かれ)らの(かみ)()ばれても、それを(はじ)とはされなかった。事実(じじつ)(かみ)(かれ)らのために、(みやこ)用意(ようい)されていたのである。
17信仰(しんこう)によって、アブラハムは、試錬(しれん)()けたとき、イサクをささげた。すなわち、約束(やくそく)()けていた(かれ)が、そのひとり()をささげたのである。 18この()については、「イサクから()(もの)が、あなたの子孫(しそん)()ばれるであろう」と()われていたのであった。 19(かれ)は、(かみ)死人(しにん)(なか)から(ひと)をよみがえらせる(ちから)がある、と(しん)じていたのである。だから(かれ)は、いわば、イサクを()きかえして(わた)されたわけである。 20信仰(しんこう)によって、イサクは、きたるべきことについて、ヤコブとエサウとを祝福(しゅくふく)した。 21信仰(しんこう)によって、ヤコブは()のまぎわに、ヨセフの()らをひとりびとり祝福(しゅくふく)し、そしてそのつえのかしらによりかかって礼拝(れいはい)した。 22信仰(しんこう)によって、ヨセフはその臨終(りんじゅう)に、イスラエルの()らの()()くことを(おも)い、自分(じぶん)(ほね)のことについてさしずした。
23信仰(しんこう)によって、モーセの(うま)れたとき、両親(りょうしん)は、三か(げつ)のあいだ(かれ)(かく)した。それは、(かれ)らが子供(こども)のうるわしいのを()たからである。(かれ)らはまた、(おう)命令(めいれい)をも(おそ)れなかった。 24信仰(しんこう)によって、モーセは、成人(せいじん)したとき、パロの(むすめ)()()われることを(こば)み、 25(つみ)のはかない歓楽(かんらく)にふけるよりは、むしろ(かみ)(たみ)(とも)虐待(ぎゃくたい)されることを(えら)び、 26キリストのゆえに()けるそしりを、エジプトの(たから)にまさる(とみ)(かんが)えた。それは、(かれ)(むく)いを(のぞ)()ていたからである。 27信仰(しんこう)によって、(かれ)(おう)(いきどお)りをも(おそ)れず、エジプトを()()った。(かれ)は、()えないかたを()ているようにして、(しの)びとおした。 28信仰(しんこう)によって、(ほろ)ぼす(もの)が、長子(ちょうし)らに()(くだ)すことのないように、(かれ)過越(すぎこし)(おこな)()()った。 29信仰(しんこう)によって、人々(ひとびと)紅海(こうかい)をかわいた土地(とち)をとおるように(わた)ったが、(おな)じことを(くわだ)てたエジプト(じん)はおぼれ()んだ。 30信仰(しんこう)によって、エリコの城壁(じょうへき)は、七日(なぬか)にわたってまわったために、くずれおちた。 31信仰(しんこう)によって、遊女(ゆうじょ)ラハブは、(さぐ)りにきた(もの)たちをおだやかに(むか)えたので、()従順(じゅうじゅん)(もの)どもと一緒(いっしょ)(ほろ)びることはなかった。 32このほか、(なに)()おうか。もしギデオン、バラク、サムソン、エフタ、ダビデ、サムエル(およ)預言者(よげんしゃ)たちについて(かた)()すなら、時間(じかん)()りないであろう。 33(かれ)らは信仰(しんこう)によって、国々(くにぐに)征服(せいふく)し、()(おこな)い、約束(やくそく)のものを()け、ししの(くち)をふさぎ、 34()(いきお)いを()し、つるぎの()をのがれ、(よわ)いものは(つよ)くされ、(たたか)いの勇者(ゆうしゃ)となり、他国(たこく)(ぐん)退(しりぞ)かせた。 35(おんな)たちは、その死者(ししゃ)たちをよみがえらさせてもらった。ほかの(もの)は、(さら)にまさったいのちによみがえるために、拷問(ごうもん)(くる)しみに(あま)んじ、放免(ほうめん)されることを(ねが)わなかった。 36なおほかの(もの)たちは、あざけられ、むち()たれ、しばり()げられ、投獄(とうごく)されるほどのめに()った。 37あるいは、(いし)()たれ、さいなまれ、のこぎりで()かれ、つるぎで()(ころ)され、(ひつじ)(かわ)や、やぎの(かわ)()(ある)きまわり、無一物(むいちもつ)になり、(なや)まされ、(くる)しめられ、 38(この()(かれ)らの()(ところ)ではなかった)、荒野(あらの)(やま)(なか)(いわ)(あな)(つち)(あな)とを、さまよい(つづ)けた。
39さて、これらの人々(ひとびと)はみな、信仰(しんこう)によってあかしされたが、約束(やくそく)のものは()けなかった。 40(かみ)はわたしたちのために、さらに()いものをあらかじめ(そな)えて(くだ)さっているので、わたしたちをほかにしては(かれ)らが(まっと)うされることはない。

第十二章

1こういうわけで、わたしたちは、このような(おお)くの証人(しょうにん)(くも)のように(かこ)まれているのであるから、いっさいの重荷(おもに)と、からみつく(つみ)とをかなぐり()てて、わたしたちの参加(さんか)すべき競走(きょうそう)を、()(しの)んで(はし)りぬこうではないか。 2信仰(しんこう)(みちび)()であり、またその完成(かんせい)(もの)であるイエスを(あお)()つつ、(はし)ろうではないか。(かれ)は、自分(じぶん)(まえ)におかれている(よろこ)びのゆえに、(はじ)をもいとわないで十字架(じゅうじか)(しの)び、(かみ)御座(みざ)(みぎ)()するに(いた)ったのである。 3あなたがたは、(よわ)()てて意気(いき)そそうしないために、罪人(つみびと)らのこのような反抗(はんこう)()(しの)んだかたのことを、(おも)いみるべきである。 4あなたがたは、(つみ)()()んで(たたか)(とき)、まだ()(なが)すほどの抵抗(ていこう)をしたことがない。 5また()たちに(たい)するように、あなたがたに(かた)られたこの(すす)めの言葉(ことば)(わす)れている、
「わたしの()よ、
(しゅ)訓練(くんれん)(かろ)んじてはいけない。
(しゅ)()められるとき、(よわ)()ててはならない。
6(しゅ)(あい)する(もの)訓練(くんれん)し、
()けいれるすべての()を、
むち()たれるのである」。
7あなたがたは訓練(くんれん)として()(しの)びなさい。(かみ)はあなたがたを、()として()(あつか)っておられるのである。いったい、(ちち)訓練(くんれん)されない()があるだろうか。 8だれでも()ける訓練(くんれん)が、あなたがたに(あた)えられないとすれば、それこそ、あなたがたは私生子(しせいじ)であって、ほんとうの()ではない。 9その(うえ)肉親(にくしん)(ちち)はわたしたちを訓練(くんれん)するのに、なお(かれ)をうやまうとすれば、なおさら、わたしたちは、たましいの(ちち)服従(ふくじゅう)して、(しん)()きるべきではないか。 10肉親(にくしん)(ちち)は、しばらくの(あいだ)自分(じぶん)(かんが)えに(したが)って訓練(くんれん)(あた)えるが、たましいの(ちち)は、わたしたちの(えき)のため、そのきよさにあずからせるために、そうされるのである。 11すべての訓練(くんれん)は、当座(とうざ)は、(よろこ)ばしいものとは(おも)われず、むしろ(かな)しいものと(おも)われる。しかし(のち)になれば、それによって鍛え(きたえ)られる(もの)に、平安(へいあん)()()(むす)ばせるようになる。
12それだから、あなたがたのなえた()と、(よわ)くなっているひざとを、まっすぐにしなさい。 13また、(あし)のなえている(もの)()みはずすことなく、むしろいやされるように、あなたがたの(あし)のために、まっすぐな(みち)をつくりなさい。 14すべての(ひと)(あい)()し、また、(みずか)らきよくなるように(つと)めなさい。きよくならなければ、だれも(しゅ)()ることはできない。 15()をつけて、(かみ)(めぐ)みからもれることがないように、また、(にが)()がはえ()て、あなたがたを(なや)まし、それによって(おお)くの(ひと)(けが)されることのないようにしなさい。 16また、一杯(いっぱい)(しょく)のために長子(ちょうし)権利(けんり)()ったエサウのように、不品行(ふひんこう)俗悪(ぞくあく)(もの)にならないようにしなさい。 17あなたがたの()っているように、(かれ)はその(のち)祝福(しゅくふく)()()ごうと(ねが)ったけれども、()てられてしまい、(なみだ)(なが)してそれを(もと)めたが、悔改(くいあらた)めの機会(きかい)()なかったのである。
18あなたがたが(ちか)づいているのは、()()れることができ、()()え、黒雲(くろくも)(くら)やみやあらしにつつまれ、 19また、ラッパの(ひびき)や、()いた(もの)たちがそれ以上(いじょう)(みみ)にしたくないと(ねが)ったような言葉(ことば)がひびいてきた(やま)ではない。 20そこでは、(かれ)らは、「けものであっても、(やま)(ふれ)たら、(いし)()(ころ)されてしまえ」という命令(めいれい)言葉(ことば)に、()えることができなかったのである。 21その光景(こうけい)(おそ)ろしかったのでモーセさえも、「わたしは(おそ)ろしさのあまり、おののいている」と()ったほどである。 22しかしあなたがたが(ちか)づいているのは、シオンの(やま)()ける(かみ)(みやこ)(てん)にあるエルサレム、無数(むすう)天使(てんし)(いわい)(かい)23(てん)登録(とうろく)されている長子(ちょうし)たちの教会(きょうかい)万民(ばんみん)審判者(しんぱんしゃ)なる(かみ)(まっと)うされた義人(ぎじん)(れい)24(あたら)しい契約(けいやく)仲保者(ちゅうほしゃ)イエス、ならびに、アベルの()よりも力強(ちからづよ)(かた)るそそがれた()である。 25あなたがたは、(かた)っておられるかたを(こば)むことがないように、注意(ちゅうい)しなさい。もし地上(ちじょう)御旨(みむね)()げた(もの)(こば)んだ人々(ひとびと)が、(ばつ)をのがれることができなかったなら、(てん)から()(しめ)すかたを退(しりぞ)けるわたしたちは、なおさらそうなるのではないか。 26あの(とき)には、()(こえ)()(ふる)わせた。しかし(いま)は、約束(やくそく)して()われた、「わたしはもう一()()ばかりでなく(てん)をも(ふる)わそう」。 27この「もう一()」という言葉(ことば)は、(ふる)われないものが(のこ)るために、(ふる)われるものが、(つく)られたものとして()(のぞ)かれることを(しめ)している。 28このように、わたしたちは(ふる)われない(くに)()けているのだから、感謝(かんしゃ)をしようではないか。そして感謝(かんしゃ)しつつ、(おそ)れかしこみ、(かみ)(よろこ)ばれるように、(つか)えていこう。 29わたしたちの(かみ)は、(じつ)に、()きつくす()である。

第十三章

1兄弟(きょうだい)(あい)(つづ)けなさい。 2旅人(たびびと)をもてなすことを(わす)れてはならない。このようにして、ある人々(ひとびと)は、()づかないで御使(みつかい)たちをもてなした。 3(ごく)につながれている(ひと)たちを、自分(じぶん)一緒(いっしょ)につながれている心持(こころもち)(おも)いやりなさい。また、自分(じぶん)(おな)肉体(にくたい)にある(もの)だから、(くる)しめられている(ひと)たちのことを、(こころ)にとめなさい。 4すべての(ひと)は、結婚(けっこん)(おも)んずべきである。また寝床(ねどこ)(けが)してはならない。(かみ)は、不品行(ふひんこう)(もの)姦淫(かんいん)をする(もの)をさばかれる。 5金銭(きんせん)(あい)することをしないで、自分(じぶん)()っているもので満足(まんぞく)しなさい。(しゅ)は、「わたしは、(けっ)してあなたを(はな)れず、あなたを()てない」と()われた。 6だから、わたしたちは、はばからずに()おう、
(しゅ)はわたしの(たす)(ぬし)である。
わたしには(おそ)れはない。
(ひと)は、わたしに(なに)ができようか」。
7(かみ)(ことば)をあなたがたに(かた)った指導者(しどうしゃ)たちのことを、いつも(おも)(おこ)しなさい。(かれ)らの生活(せいかつ)最後(さいご)()て、その信仰(しんこう)にならいなさい。 8イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも(かわ)ることがない。 9さまざまな(ちが)った(おしえ)によって、(まよ)わされてはならない。食物(しょくもつ)によらず、(めぐ)みによって、(こころ)(つよ)くするがよい。食物(しょくもつ)によって(ある)いた(もの)は、(えき)()ることがなかった。 10わたしたちには一つの祭壇(さいだん)がある。幕屋(まくや)(つか)えている(もの)たちは、その祭壇(さいだん)食物(しょくもつ)をたべる権利(けんり)はない。 11なぜなら、大祭司(だいさいし)によって(つみ)のためにささげられるけものの()は、聖所(せいじょ)のなかに(たずさ)えて()かれるが、そのからだは、営所(えいしょ)(そと)()かれてしまうからである。 12だから、イエスもまた、ご自分(じぶん)()(たみ)をきよめるために、(もん)(そと)苦難(くなん)()けられたのである。 13したがって、わたしたちも、(かれ)のはずかしめを()()い、営所(えいしょ)(そと)()て、みもとに()こうではないか。 14この地上(ちじょう)には、永遠(えいえん)(みやこ)はない。きたらんとする(みやこ)こそ、わたしたちの(もと)めているものである。 15だから、わたしたちはイエスによって、さんびのいけにえ、すなわち、(かれ)御名(みな)をたたえるくちびるの()を、たえず(かみ)にささげようではないか。 16そして、(ぜん)(おこな)うことと(ほどこ)しをすることとを、(わす)れてはいけない。(かみ)は、このようないけにえを(よろこ)ばれる。 17あなたがたの指導者(しどうしゃ)たちの()うことを()きいれて、(したが)いなさい。(かれ)らは、(かみ)()いひらきをすべき(もの)として、あなたがたのたましいのために、()をさましている。(かれ)らが(なげ)かないで、(よろこ)んでこのことをするようにしなさい。そうでないと、あなたがたの(えき)にならない。
18わたしたちのために、(いの)ってほしい。わたしたちは(あき)らかな良心(りょうしん)()っていると(しん)じており、何事(なにごと)についても、(ただ)しく行動(こうどう)しようと(ねが)っている。 19わたしがあなたがたの(ところ)(はや)(かえ)れるため、(いの)ってくれるように、(とく)にお(ねが)いする。
20永遠(えいえん)契約(けいやく)()による(ひつじ)大牧者(だいぼくしゃ)、わたしたちの(しゅ)イエスを、死人(しにん)(なか)から()()げられた平和(へいわ)(かみ)が、 21イエス・キリストによって、みこころにかなうことをわたしたちにして(くだ)さり、あなたがたが御旨(みむね)(おこな)うために、すべての()きものを(そな)えて(くだ)さるようにこい(ねが)う。栄光(えいこう)が、世々(よよ)(かぎ)りなく(かみ)にあるように、アァメン。
22兄弟(きょうだい)たちよ。どうかわたしの(すす)めの言葉(ことば)()けいれてほしい。わたしは、ただ()みじかに()いたのだから。 23わたしたちの兄弟(きょうだい)テモテがゆるされたことを、お()らせする。もし(かれ)(はや)()れば、(かれ)一緒(いっしょ)にわたしはあなたがたに()えるだろう。
24あなたがたの指導者(しどうしゃ)一同(いちどう)聖徒(せいと)たち一同(いちどう)に、よろしく(つた)えてほしい。イタリヤからきた人々(ひとびと)から、あなたがたによろしく。
25(めぐ)みが、あなたがた一同(いちどう)にあるように。