ガラテヤ人への書

第一章

1(ひと)よりに(あら)ず、(ひと)()るにも(あら)ず、イエス・キリスト(およ)(これ)死人(しにん)(うち)より(よみが)へらせ(たま)ひし(ちち)なる(かみ)()りて使徒(しと)となれるパウロ、 2(およ)(われ)(とも)にある(すべ)ての兄弟(きゃうだい)(ふみ)をガラテヤの(しょ)教會(けうくわい)(おく)る。 3(ねが)はくは、(われ)らの(ちち)なる(かみ)および(しゅ)イエス・キリストより(たま)恩惠(めぐみ)平安(へいあん)(なんぢ)らに()らんことを。 4(しゅ)(われ)らの(ちち)なる(かみ)御意(みこころ)(したが)ひて、(われ)らを(いま)()しき()より(すく)(いだ)さんとて、(おの)()(われ)らの(つみ)のために(あた)へたまへり。 5(ねが)はくは榮光(えいくわう)世々(よよ)(かぎ)りなく(かみ)にあらん(こと)を、アァメン。
6(われ)(なんぢ)らが()くも(すみや)かにキリストの恩惠(めぐみ)をもて()(たま)ひし(もの)より(はな)れて、(こと)なる福音(ふくいん)(うつ)りゆくを(あや)しむ。 7(これ)福音(ふくいん)()ふべき(もの)にあらず、ただ(ある)人々(ひとびと)(なんぢ)らを(みだ)してキリストの福音(ふくいん)()へんとするなり。 8されど我等(われら)にもせよ、(てん)よりの御使(みつかひ)にもせよ、(われ)らの(かつ)宣傳(のべつた)へたる(ところ)(そむ)きたる福音(ふくいん)(なんぢ)らに宣傳(のべつた)ふる(もの)あらば(のろ)はるべし。 9われら(さき)()ひし(ごと)(いま)また()はん、(なんぢ)らの()けし(ところ)(そむ)きたる福音(ふくいん)宣傳(のべつた)ふる(もの)あらば(のろ)はるべし。
10(われ)いま(ひと)(よろこ)ばれんとするか、(あるひ)(かみ)(よろこ)ばれんとするか、(そもそ)もまた(ひと)(よろこ)ばせんことを(もと)むるか。もし(われ)なほ(ひと)(よろこ)ばせをらば、キリストの(しもべ)にあらじ。
11兄弟(きゃうだい)よ、われ(なんぢ)らに示す、わが(つた)へたる福音(ふくいん)は、(ひと)()れるものにあらず。 12(われ)(ひと)より(これ)()けず、また(をし)へられず、(ただ)イエス・キリストの默示(もくし)()れるなり。 13()がユダヤ(けう)()ける(さき)()擧動(ふるまひ)は、なんぢら(すで)()けり、(すなは)(はげ)しく(かみ)教會(けうくわい)()め、かつ(あら)したり。 14(また)わが國人(くにびと)のうち、(われ)(おな)年輩(ねんぱい)なる(おほ)くの(もの)にも(まさ)りてユダヤ(けう)(すす)み、わが先祖(せんぞ)たちの言傳(いひつたへ)(たい)して(はなは)熱心(ねっしん)なりき。 15されど(はは)(たい)()でしより(われ)(えら)(わか)ち、その恩惠(めぐみ)をもて()(たま)へる(もの) 16御子(みこ)()(うち)(あらは)して()福音(ふくいん)異邦人(いはうじん)宣傳(のべつた)へしむるを()しとし(たま)へる(とき)、われ(ただ)ちに血肉(けつにく)(はか)らず、 17(われ)より(さき)使徒(しと)となりし人々(ひとびと)()はんとてエルサレムにも(のぼ)らず、アラビヤに()()きて(つひ)にまたダマスコに(かへ)れり。
18その(のち)三年(さんねん)()て、ケパを(たづ)ねんとエルサレムに(のぼ)り、(じふ)()(にち)(あひだ)かれと(とも)(とどま)りしが、 19(しゅ)兄弟(きゃうだい)ヤコブのほか(いづれ)使徒(しと)にも()はざりき。 20(ここ)()きおくる(こと)は、()よ、(かみ)(まへ)にて(いつは)らざるなり) 21その(のち)シリヤ、キリキヤの地方(ちはう)()けり。 22キリストにあるユダヤの(しょ)教會(けうくわい)()(かほ)()らざりしかど、 23ただ人々(ひとびと)の『われらを(さき)()めし(もの)(かつ)(あら)したる信仰(しんかう)(みち)(いま)(つた)ふ』といふを()き、 24わが(こと)によりて(かみ)(あが)めたり。

第二章

1その(のち)十四年(じふよねん)()て、バルナバと(とも)にテトスをも()れて、(また)エルサレムに(のぼ)れり。 2()(のぼ)りしは默示(もくし)()りてなり。かくて異邦人(いはうじん)(うち)()ぶる福音(ふくいん)(かれ)らに()げ、また()ある(もの)どもに(ひそか)()げたり、これは()(はし)ること、(また)すでに(はし)りしことの(むな)しからざらん(ため)なり。 3(しか)して(われ)(とも)なるギリシヤ(びと)テトスすら割禮(かつれい)()ひられざりき。 4これ(ひそか)()りたる(にせ)兄弟(きゃうだい)あるに()りてなり。(かれ)らの(しの)()りたるは、(われ)らがキリスト・イエスに()りて()てる自由(じいう)(うかが)ひ、(かつ)われらを奴隷(どれい)とせん(ため)なり。 5()れど福音(ふくいん)眞理(まこと)(なんぢ)らの(うち)(とどま)らんために、(われ)(ひと)(とき)(かれ)らに(ゆず)(したが)はざりき。 6(しか)るに、かの()ある(もの)どもより――(かれ)らは如何(いか)なる(ひと)なるにもせよ、(われ)には關係(かかはり)なし、(かみ)(ひと)外面(うはべ)()(たま)はず――()にかの()ある(もの)どもは(われ)(なに)をも(くは)へず、 7(かへ)つてペテロが割禮(かつれい)ある(もの)(たい)する福音(ふくいん)(ゆだ)ねられたる(ごと)く、()割禮(かつれい)なき(もの)(たい)する福音(ふくいん)(ゆだ)ねられたるを(みと)め、 8(ペテロに能力(ちから)(あた)へて割禮(かつれい)ある(もの)使徒(しと)となし(たま)ひし(もの)は、(われ)にも異邦人(いはうじん)のために能力(ちから)(あた)(たま)へり) 9また(われ)(たま)はりたる恩惠(めぐみ)をさとりて、(はしら)(おも)はるるヤコブ、ケパ、ヨハネは、交誼(まじはり)(しるし)として(われ)とバルナバとに握手(あくしゅ)せり。これは(われ)らが異邦人(いはうじん)にゆき、(かれ)らが割禮(かつれい)ある(もの)()かん(ため)なり。 10(ただ)その(ねが)ふところは(われ)らが(まづ)しき(もの)(かへり)みんことなり、(われ)(もと)より()(こと)(はげ)みて(おこな)へり。
11されどケパがアンテオケに(きた)りしとき、()むべき(こと)のありしをもて面前(まのあたり)これと(あらそ)ひたり。 12その(ゆゑ)はある人々(ひとびと)のヤコブの(もと)より(きた)るまでは、かれ異邦人(いはうじん)(とも)(しょく)しゐたるに、かの人々(ひとびと)(きた)りてよりは、割禮(かつれい)ある(もの)どもを(おそ)れ、退(しりぞ)きて異邦人(いはうじん)(わか)れたり。 13(ほか)のユダヤ(びと)(かれ)とともに僞行(いつはりごと)をなし、バルナバまでもその僞行(いつはりごと)(さそ)はれゆけり。 14されど(われ)かれらが福音(ふくいん)眞理(まこと)(したが)ひて(ただ)しく(あゆ)まざるを()て、會衆(くわいしゅう)(まへ)にてケパに()ふ『なんぢユダヤ(びと)なるにユダヤ(びと)(ごと)くせず、異邦人(いはうじん)のごとく生活(せいくわつ)せば、(なに)()ひて異邦人(いはうじん)をユダヤ(びと)(ごと)くならしめんとするか』 15(われ)らは生來(うまれながら)のユダヤ(びと)にして、罪人(つみびと)なる異邦人(いはうじん)にあらざれども、 16(ひと)()とせらるるは律法(おきて)行爲(おこなひ)()らず、(ただ)キリスト・イエスを(しん)ずる信仰(しんかう)()るを()りて、キリスト・イエスを(しん)じたり。これ律法(おきて)行爲(おこなひ)()らず、キリストを(しん)ずる信仰(しんかう)によりて()とせられん(ため)なり。律法(おきて)行爲(おこなひ)によりては()とせらるる(もの)一人(ひとり)だになし。 17()しキリストに()りて()とせららんことを(もと)めて、なほ罪人(つみびと)(みと)められなば、キリストは(つみ)役者(えきしゃ)なるか、(けっ)して(しか)らず。 18(われ)もし(さき)(こぼ)ちしものを(ふたた)()てなば、(おのれ)みづから犯罪者(はんざいしゃ)たるを(あらは)す。 19(われ)(かみ)()きんために、律法(おきて)によりて律法(おきて)()にたり。 20(われ)キリストと(とも)十字架(じふじか)につけられたり。最早(もはや)われ()くるにあらず、キリスト()(うち)()りて()くるなり。(いま)われ肉體(にくたい)()りて()くるは、(われ)(あい)して()がために(おの)()()(たま)ひし(かみ)()(しん)ずるに()りて()くるなり。 21(われ)(かみ)恩惠(めぐみ)(むな)しくせず、もし()とせらるること律法(おきて)()らば、キリストの()(たま)へるは徒然(いたづら)なり。

第三章

1(おろか)なる(かな)、ガラテヤ(びと)よ、十字架(じふじか)につけられ(たま)ひしままなるイエス・キリスト、(なんぢ)らの眼前(めのまへ)(あらは)されたるに、(たれ)(なんぢ)らを(たぶら)かししぞ。 2(われ)(なんぢ)()より(ただ)この(こと)()かんと(ほっ)す。(なんぢ)らが御靈(みたま)()けしは律法(おきて)行爲(おこなひ)()るか、()きて(しん)じたるに()るか。 3(なんぢ)らは()くも(おろか)なるか、御靈(みたま)によりて(はじま)りしに、(いま)(にく)によりて(まった)うせらるるか。 4斯程(かほど)まで(おほ)くの苦難(くるしみ)()けしことは徒然(いたづら)なるか、徒然(いたづら)にはあるまじ。 5()らば(なんぢ)らに御靈(みたま)(たま)ひて(なんぢ)らの(うち)能力(ちから)ある(わざ)(おこな)(たま)へるは、律法(おきて)行爲(おこなひ)()るか、()きて(しん)ずるに()るか。 6(しる)して『アブラハム(かみ)(しん)じ、その信仰(しんかう)()とせられたり』とあるが(ごと)し。
7されば()れ、信仰(しんかう)()(もの)(これ)アブラハムの()なるを。 8聖書(せいしょ)(かみ)異邦人(いはうじん)信仰(しんかう)()りて()とし(たま)ふことを()りて、(あらか)じめ福音(ふくいん)をアブラハムに(つた)へて()ふ『なんぢに()りてもろもろの國人(くにびと)祝福(しくふく)せられん』と。 9この(ゆゑ)信仰(しんかう)による(もの)は、信仰(しんかう)ありしアブラハムと(とも)祝福(しくふく)せらる。 10されど(すべ)律法(おきて)行爲(おこなひ)による(もの)(のろひ)(した)にあり。(しる)して『律法(おきて)(ふみ)(しる)されたる(すべ)ての(こと)(つね)(おこな)はぬ(もの)はみな(のろ)はるべし』とあればなり。 11律法(おきて)()りて(かみ)(まへ)()とせらるる(こと)なきは(あきら)かなり『義人(ぎじん)信仰(しんかう)によりて()くべし』とあればなり。 12律法(おきて)信仰(しんかう)()るにあらず、(かへ)つて『律法(おきて)(おこな)(もの)(これ)()りて()くべし』と()へり。 13キリストは我等(われら)のために(のろ)はるる(もの)となりて、律法(おきて)(のろひ)より(われ)らを(あがな)(いだ)(たま)へり。(しる)して『()()けらるる(もの)(すべ)(のろ)はるべし』と()へばなり。 14これアブラハムの()けたる祝福(しくふく)の、イエス・キリストによりて異邦人(いはうじん)におよび、(かつ)われらが信仰(しんかう)()りて約束(やくそく)御靈(みたま)()けん(ため)なり。
15兄弟(きゃうだい)よ、われ(ひと)(こと)()りて()はん、(ひと)契約(けいやく)すら(すで)(さだ)むれば、(これ)(はい)しまた(くは)ふる(もの)なし。 16かの約束(やくそく)はアブラハムと()(すゑ)とに(あた)(たま)ひし(もの)なり。(おほ)くの(もの)()すごとく『裔々(すゑずゑ)に』とは()はず、一人(ひとり)()すごとく『なんぢの(すゑ)に』と()へり、これ(すなは)ちキリストなり。 17()れば(われ)いはん、(かみ)(あらか)じめ(さだ)(たま)ひし契約(けいやく)は、その(のち)四百三十年(しひゃくさんじふねん)()(おこ)りし律法(おきて)(はい)せらるることなく、その約束(やくそく)(むな)しくせらるる(こと)なし。 18もし嗣業(しげふ)()くること律法(おきて)()らば、もはや約束(やくそく)には()らず、(しか)るに(かみ)約束(やくそく)()りて(これ)をアブラハムに(たま)ひたり。 19()れば律法(おきて)(なに)のためぞ。これ(つみ)(ため)(くは)(たま)ひしものにて、御使(みつかひ)たちを()中保(なかだち)()によりて()てられ、約束(やくそく)(あた)へられたる(すゑ)(きた)らん(とき)にまで(およ)ぶなり。 20中保(なかだち)一方(いっぱう)のみの(もの)にあらず、()れど(かみ)唯一(ゆゐいつ)(いま)せり) 21さらば律法(おきて)(かみ)約束(やくそく)(もと)るか、(けっ)して(しか)らず。もし(ひと)()かすべき律法(おきて)(あた)へられたらんには、()()とせらるるは律法(おきて)()りしならん。 22されど聖書(せいしょ)(すべ)ての(もの)(つみ)(した)()()めたり。これ(しん)ずる(もの)のイエス・キリストに(たい)する信仰(しんかう)()れる約束(やくそく)(あた)へられん(ため)なり。
23信仰(しんかう)()(きた)らぬ(さき)は、われら律法(おきて)(した)(まも)られて、(のち)(あらは)れんとする信仰(しんかう)(とき)まで()()められたり。 24かく信仰(しんかう)によりて(われ)らの()とせられん(ため)に、律法(おきて)(われ)らをキリストに(みちび)守役(もりやく)となれり。 25されど信仰(しんかう)()(きた)りし(のち)は、我等(われら)もはや守役(もりやく)(した)()らず。 26(なんぢ)らは信仰(しんかう)によりキリスト・イエスに()りて、みな(かみ)()たり。 27(おほよ)そバプテスマに()りてキリストに()ひし(なんぢ)らは、キリストを()たるなり。 28(いま)はユダヤ(びと)もギリシヤ(びと)もなく、奴隷(どれい)自主(じしゅ)もなく、(をとこ)(をんな)もなし、(なんぢ)らは(みな)キリスト・イエスに()りて一體(いったい)なり。 29(なんぢ)()もしキリストのものならば、アブラハムの(すゑ)にして約束(やくそく)(したが)へる世嗣(よつぎ)たるなり。

第四章

1われ()ふ、世嗣(よつぎ)全業(ぜんげふ)(しゅ)なれども、成人(おとな)とならぬ(あひだ)(しもべ)(こと)なることなく、 2(ちち)(さだ)めし(とき)(いた)るまでは後見者(うしろみ)家令(かれい)との(した)にあり。 3()くのごとく(われ)らも成人(おとな)とならぬほどは、()小學(せうがく)(した)にありて(しもべ)たりしなり。 4されど(とき)滿()つるに(およ)びては、(かみ)その御子(みこ)(つかは)し、これを(をんな)より(うま)れしめ、律法(おきて)(した)(うま)れしめ(たま)へり。 5これ律法(おきて)(した)にある(もの)をあがなひ、我等(われら)をして()たることを()しめん(ため)なり。 6かく(なんぢ)(かみ)()たる(ゆゑ)に、(かみ)御子(みこ)御靈(みたま)(われ)らの(こころ)(つかは)して『アバ、(ちち)』と()ばしめ(たま)ふ。 7されば最早(もはや)なんぢは(しもべ)にあらず、()たるなり、(すで)()たらば(また)(かみ)()りて世嗣(よつぎ)たるなり。
8されど(なんぢ)(かみ)()らざりし(とき)は、その(じつ)(かみ)にあらざる神々(かみがみ)(つか)へたり。 9(いま)(かみ)()り、むしろ(かみ)()られたるに、(なん)(また)かの(よわ)くして(いや)しき小學(せうがく)(かへ)りて、(ふたた)びその(しもべ)たらんとするか。 10(なんぢ)らは()(つき)季節(きせつ)(とし)とを(まも)る。 11(われ)(なんぢ)らの(ため)(はたら)きし(こと)(あるひ)()(えき)にならんことを(おそ)る。
12兄弟(きゃうだい)よ、(われ)なんぢらに()ふ、われ(なんぢ)()のごとく()りたれば、(なんぢ)()がごとく()れ。(なんぢ)何事(なにごと)にも(われ)(そこな)ひしことなし。 13わが(はじ)(なんぢ)らに福音(ふくいん)(つた)へしは、肉體(にくたい)(よわき)かりし(ゆゑ)なるを(なんぢ)()る。 14わが肉體(にくたい)(なんぢ)らの試錬(こころみ)となる(もの)ありたれど(なんぢ)(これ)(いや)しめず、(また)きらはず、(かへ)つて(われ)(かみ)使(つかひ)(ごと)く、キリスト・イエスの(ごと)(むか)へたり。 15(なんぢ)らの()(とき)幸福(さいはひ)はいま何處(いづこ)()るか。(われ)なんぢらに()きて(あかし)す、もし()()べくば(おの)()(ゑぐ)りて(われ)(あた)へんとまで(おも)ひしを。 16(しか)るに(われ)なんぢらに(まこと)()ふによりて(あた)となりたるか。 17かの人々(ひとびと)(なんぢ)らに熱心(ねっしん)なるは()(こころ)にあらず、(なんぢ)らを(われ)らより(はな)して(おのれ)らに熱心(ねっしん)ならしめんとてなり。 18()(こころ)より熱心(ねっしん)(した)はるるは、(ただ)()(なんぢ)らと(とも)にをる(とき)のみならず、何時(いつ)にても(よろ)しき(こと)なり。 19わが幼兒(をさなご)よ、(なんぢ)らの(うち)にキリストの(かたち)()るまでは、(われ)ふたたび(うみ)苦痛(くるしみ)をなす。 20(いま)なんぢらに(いた)りて()(こゑ)()へんことを(ねが)ふ、(なんぢ)らに()きて(まど)へばなり。
21律法(おきて)(した)にあらんと(ねが)(もの)よ、(われ)にいへ、(なんぢ)律法(おきて)をきかぬか。 22(すなは)ちアブラハムに()二人(ふたり)あり、一人(ひとり)婢女(はしため)より、一人(ひとり)自主(じしゅ)(をんな)より(うま)れたりと(しる)されたり。 23婢女(はしため)よりの()(にく)によりて(うま)れ、自主(じしゅ)(をんな)よりの()約束(やくそく)による。 24この(うち)(たとへ)あり、二人(ふたり)(をんな)(ふた)つの契約(けいやく)なり、その(ひと)つはシナイ(やま)より()でて、奴隷(どれい)たる()()む、これハガルなり。 25このハガルはアラビヤに()るシナイ(やま)にして(いま)のエルサレムに(あた)る。エルサレムはその()らとともに奴隷(どれい)たるなり。 26されど(うへ)なるエルサレムは、自主(じしゅ)にして(われ)らの(はは)なり。 27(しる)していふ
石女(うまずめ)にして()まぬものよ、(よろこ)べ。
(うみ)苦痛(くるしみ)せぬ(もの)よ、(こゑ)をあげて(よば)はれ。
獨住(ひとりずみ)(をんな)()(おほ)し、(をっと)ある(もの)()よりも(おほ)し』
とあり。 28兄弟(きゃうだい)よ、なんぢらはイサクのごとく約束(やくそく)()なり。 29(しか)るに()(とき)(にく)によりて(うま)れし(もの)御靈(みたま)によりて(うま)れし(もの)()めしごとく、(いま)なほ(しか)り。 30されど聖書(せいしょ)(なに)()へるか『婢女(はしため)とその()とを()ひいだせ、婢女(はしため)()自主(じしゅ)(をんな)()(とも)(わざ)()ぐべからず』とあり。 31されば兄弟(きゃうだい)よ、われらは婢女(はしため)()ならず、自主(じしゅ)(をんな)()なり。

第五章

1キリストは自由(じいう)()させん(ため)(われ)らを()(はな)ちたまへり。されば(かた)()ちて(ふたた)奴隷(どれい)(くびき)(つな)がるな。
2()よ、(われ)パウロ(なんぢ)らに()ふ、もし割禮(かつれい)()けば、キリストは(なんぢ)らに(えき)なし。 3(また)さらに(すべ)割禮(かつれい)()くる(ひと)(あかし)す、かれは律法(おきて)全體(ぜんたい)(おこな)ふべき負債(おひめ)あり。 4律法(おきて)()りて()とせられんと(おも)(なんぢ)らは、キリストより(はな)れたり、恩惠(めぐみ)より()ちたり。 5(われ)らは御靈(みたま)により、信仰(しんかう)によりて希望(のぞみ)をいだき、()とせらるることを()てるなり。 6キリスト・イエスに()りては、割禮(かつれい)()くるも割禮(かつれい)()けぬも(えき)なく、ただ(あい)()りてはたらく信仰(しんかう)のみ(えき)あり。 7なんぢら(さき)には()(はし)りたるに、(たれ)(なんぢ)らの眞理(まこと)(したが)ふを(はば)みしか。 8かかる(すすめ)(なんぢ)らを()したまふ(もの)より()づるにあらず。 9(すこ)しのパン(だね)(こな)團塊(かたまり)をみな(ふく)れしむ。 10われ(なんぢ)らに()きては、その(いささ)かも異念(いねん)(いだ)かぬことを(しゅ)によりて(しん)ず。されど(なんぢ)らを(みだ)(もの)は、(たれ)にもあれ審判(さばき)()けん。 11兄弟(きゃうだい)よ、(われ)もし(いま)割禮(かつれい)宣傳(のべつた)へば、(なに)ぞなほ迫害(はくがい)せられんや。もし(しか)せば十字架(じふじか)顛躓(つまづき)()みしならん。 12(ねが)はくは(なんぢ)らを(みだ)(もの)どもの自己(みづから)不具(ふぐ)にせんことを。
13兄弟(きゃうだい)よ、(なんぢ)らの()されたるは自由(じいう)(あた)へられん(ため)なり。ただ()自由(じいう)(にく)(したが)機會(をり)となさず、(かへ)つて(あい)をもて(たがひ)(つか)へよ。 14それ律法(おきて)全體(ぜんたい)は『おのれの(ごと)くなんぢの(となり)(あい)すべし』との一言(いちげん)にて(まった)うせらるるなり。 15(こころ)せよ、()(たがひ)()(くら)はば(あひ)(とも)(ほろぼ)されん。
16(われ)いふ、御靈(みたま)によりて(あゆ)め、さらば(にく)(よく)()げざるべし。 17(にく)(のぞ)むところは御靈(みたま)にさからひ、御靈(みたま)(のぞ)むところは(にく)にさからひて(たがひ)(あひ)(もど)ればなり。これ(なんぢ)らの(ほっ)する(ところ)をなし()ざらしめん(ため)なり。 18(なんぢ)()もし御靈(みたま)(みちび)かれなば、律法(おきて)(した)にあらじ。 19それ(にく)行爲(おこなひ)はあらはなり。(すなは)淫行(いんかう)汚穢(けがれ)好色(かうしょく)20偶像(ぐうざう)崇拜(すうはい)呪術(まじわざ)怨恨(うらみ)紛爭(あらそひ)嫉妬(ねたみ)憤恚(いきどほり)徒黨(とたう)分離(ぶんり)異端(いたん)21猜忌(そねみ)醉酒(すゐしゅ)宴樂(えんらく)などの(ごと)し。(われ)すでに(いまし)めたるごとく、(いま)また(いまし)む。()かることを(おこな)(もの)(かみ)(くに)()ぐことなし。 22されど御靈(みたま)()(あい)喜悦(よろこび)平和(へいわ)寛容(くわんよう)仁慈(なさけ)善良(ぜんりゃう)忠信(ちゅうしん)23柔和(にうわ)節制(せつせい)なり。()かるものを(きん)ずる律法(おきて)はあらず。 24キリスト・イエスに(ぞく)する(もの)は、(にく)とともに()(じゃう)(よく)とを十字架(じふじか)につけたり。
25もし(われ)御靈(みたま)()りて()きなば、御靈(みたま)()りて(あゆ)むべし。 26(たがひ)(いど)(たがひ)(ねた)みて、(むな)しき(ほまれ)(もと)むることを()な。

第六章

1兄弟(きゃうだい)よ、もし(ひと)(つみ)(みと)むることあらば、御靈(みたま)(かん)じたる(もの)柔和(にうわ)なる(こころ)をもて(これ)(ただ)すべし、(かつ)おのおの(みづか)(かへり)みよ、(おそ)らくは(おのれ)(さそ)はるる(こと)あらん。 2なんぢら(たがひ)(おもき)()へ、(しか)してキリストの律法(おきて)(まった)うせよ。 3(ひと)もし()ること()くして(みづか)()りとせば、(これ)みづから(あざむ)くなり。 4各自(おのおの)おのが行爲(おこなひ)(ため)()よ、さらば(ほこ)るところは(ほか)にあらで、ただ(おのれ)にあらん。 5各自(おのおの)おのが()()ふべければなり。
6御言(みことば)(をし)へらるる(ひと)は、(をし)ふる(ひと)(すべ)ての()(もの)(とも)にせよ。 7(みづか)(あざむ)くな、(かみ)(あなど)るべき(もの)にあらず、(ひと)()(ところ)は、その()(ところ)とならん。 8(おの)(にく)のために()(もの)(にく)によりて滅亡(ほろび)()りとり、御靈(みたま)のために()(もの)御靈(みたま)によりて永遠(とこしへ)生命(いのち)()りとらん。 9われら(ぜん)をなすに()まざれ、もし(たゆ)まずば、(とき)いたりて()()るべし。 10この(ゆゑ)(をり)(したが)ひて、(すべ)ての(ひと)(こと)信仰(しんかう)家族(かぞく)(ぜん)をおこなへ。
11()よ、われ()づから如何(いか)(おほい)なる文字(もじ)にて(なんぢ)らに()(おく)るかを。 12(おほよ)(にく)において(うるわ)しき外觀(みえ)をなさんと(ほっ)する(もの)は、(なんぢ)らに割禮(かつれい)()ふ。これ(ただ)キリストの十字架(じふじか)(ゆゑ)によりて()められざらん(ため)のみ。 13そは割禮(かつれい)をうくる(もの)すら(みづか)律法(おきて)(まも)らず、(しか)(なんぢ)らに割禮(かつれい)をうけしめんと(ほっ)するは、(なんぢ)らの(にく)につきて(ほこ)らんが(ため)なり。 14されど(われ)には、(われ)らの(しゅ)イエス・キリストの十字架(じふじか)のほかに(ほこ)(ところ)あらざれ。(これ)によりて()(われ)(たい)して十字架(じふじか)につけられたり、()()(たい)するも(また)(しか)り。 15それ割禮(かつれい)()くるも()けぬも、(とも)(かぞ)ふるに()らず、ただ(たふと)きは(あらた)(つく)らるる(こと)なり。 16()(のり)(したが)ひて(あゆ)(すべ)ての(もの)(うへ)に、(かみ)のイスラエルの(うへ)に、平安(へいあん)憐憫(あはれみ)とあれ。
17(いま)よりのち(たれ)(われ)(わづら)はすな、(われ)はイエスの(しるし)()()びたるなり。
18兄弟(きゃうだい)よ、(ねが)はくは(われ)らの(しゅ)イエス・キリストの恩惠(めぐみ)、なんぢらの(れい)とともに()らんことを、アァメン。