序文

クリストフ・ブルームハルト

ドイツのメトリンゲン村で牧師をしていた父親が二年にわたる悪魔的暗闇との戦いを終えたのは、クリストフ・ブルームハルトが一歳になる頃のことである。ヨハン・ブルームハルトが自分の会衆の中にいた一人の苦しんでいる婦人の相談に乗ることに同意したとたん、地獄がこぞって解き放たれた。敵は敗北し、最後に「イエスは勝利者である!」と咆哮して、退散した。しかし、これは後に続くドラマの幕開けにすぎなかったのである。

それに続いて起きたのは、まさに天が地に訪れることであった。病人や不具の人は癒され、精神病は征服され、盗品は返却された。殺人者たちは自白し、破綻した結婚生活は回復された。この覚醒により、人々の生活や関係は激変した。このようなしるしを帯びつつ、この覚醒は静かな潮流のようにドイツ中に広まり、さらに遠方にまで及んだ。冷笑的な新聞や、ヨハン・ブルームハルトの神経質な教会の上司たちにもかかわらずである。

クリストフ・ブルームハルトのエッセイ「イエスは勝利者」は、この経験に根ざしている。彼はいくつかのところでこの経験について述べており、この経験が彼の思考の中枢だったことは明らかである。彼のこの書はこれだけでも十分だが、暗闇の勢力に対する父親の戦いと――それに対する勝利――から切り離すなら、十分に味わうことはできない。クリストフ・ブルームハルトにとって、メトリンゲンで起きた事は過去の出来事だっただけでなく、絶えまない現実でもあったのである。この本と一緒にフリードリヒ・ズンデルによる「覚醒」を読むよう読者にお勧めする。「覚醒」はヨハン・ブルームハルトの経験の詳細な解説である。この二冊の本は一体なのである。

編者一同